OCCUPATIONAL THERAPY

作業療法学専攻の3つのポリシー

アドミッション・ポリシー(AP:入学者受け入れの方針)

リハビリテーション学科作業療法学専攻は、建学の精神及び教育理念のもとに、作業療法士として求められる幅広い教養と高い倫理観を備え、常に最新の知識と技術を求めて学修するという探究心を持ち、保健医療、特に作業療法を通して社会に貢献できる人材の育成を目的として、次のような人を求めています。

  1. 優しい心で、敬意を持って人に接することができる人
  2. 他者に興味を持ち、作業療法士を目指す、向上心のある人
  3. 作業療法を通して、人々の役に立つことや地域社会に貢献しようとする人

カリキュラム・ポリシー(CP:教育課程の編成・実施方針)

リハビリテーション学科作業療法学専攻は、建学の精神を実践する専門職を育成するため、学年進行に沿って学修効果が高まる体系的な教育課程を、以下のポリシーに基づいて編成します。

  1. 深く人間を理解し教養を高めるため、多様な教養科目・専門基礎科目と専門科目の統合的理解を深め、保健・医療・福祉を総合的に学ぶ。
  2. 大学の理念を象徴する科目や作業療法学の学びを通して、本学の理念を理解し基盤となる倫理や知識を共有する。
  3. 各学年に配置された実習を通して、学内で学習した理論に裏打ちされた科学的実践力を身につける。
  4. 社会で活躍する作業療法士に必要な基礎知識や技術、コミュニケーション能力を身につける。
  5. 演習・実習を通して作業療法士に求められる倫理観や必要な態度、習慣を身につける。
  6. 自己の到達レベルを常に意識し、生涯にわたって主体的に自己研鑽する姿勢を身につける。

ディプロマ・ポリシー(DP:学位授与方針)

リハビリテーション学科作業療法学専攻は、学則に定められた所定の単位を修得し、以下の知識、能力と人間性を養った学生に対して学士の学位を授与します。

  1. 基礎医学をはじめとした幅広い知識を基に、身体と精神の双方から人を理解し、生命を尊ぶことができる。
  2. 作業療法課程での学びや経験から、人を全人的に理解し寄り添うことができる。
  3. 医療・福祉を取り巻く多様な社会を理解し、幅広い作業療法の活動を広めることができる。
  4. 地域における作業療法の現状と課題を知り、課題解決のための実践を通して社会に貢献できる。
  5. 作業療法を実践し社会に貢献できる協調性とコミュニケーション能力がある。
  6. リハビリテーションの専門職として、社会に貢献するために、生涯にわたって学修し自己研鑽するための基盤を身につける。

作業療法学専攻の特長

入学していただいた学生の皆さんが4年間で卒業し、国家試験が合格できることを目指しています。また、対象者の価値観を尊重した作業療法の実践が行える学生を育てていきます。そのために以下の教育の特色があります。

1 学修支援(少人数教育、担任+ゼミ活動、補習)

30名定員の少人数教育ならではの手厚い教育を行っています。1年生よりゼミ活動を行い、担任だけではなく、ゼミの教員で支援する体制を取っています。加えて、見学体験実習、評価実習、総合実習などの実習担当と施設担当もあり、多くの教員がかかわっていきます。

学修支援

2 国家試験対策

2年連続で国家試験合格率100%達成!
令和5年2月に実施した第58回作業療法士国家試験100%合格。国家試験に合格するためのノウハウがあります。

国家試験対策

3 MTDLP(生活行為向上マネジメント)推進協力校(推進強化校9校、推進協力校17校(2022年時点)

作業療法では、自立支援とやりたい作業や役割の支援を行っていきますが、その実践ツールとしてMTDLPは非常に有用であり、積極的に取り入れています。

4 臨床参加型実習(CCS)・臨床技能評価(OSCE)などの臨床教育の導入

CCSは臨床実習の進め方として、見学、模倣、実施で学生の段階に合わせた指導を行い、OSCEは学内で模擬患者や学部評価者のもと臨床技能を評価していきます。

5 世界作業療法士連盟(World Federation of Occupational Therapists:WFOT)の認可校

WFOTとは、作業療法の国際協力の推進を行うことを中心に作業療法の普及や発展・教育研究水準の維持・改善などを目的とする国際的作業療法士の団体です。2016年には、日本でWFOTの国際学会が開催されています。WFOTの認可を受けるためには、教員数・カリキュラム・臨床実習時間数などの様々な条件が定められ、厚生労働省が定めているより厳しい基準をクリアしなければなりません。海外で作業療法士として働くためには、各国の審査や試験が求められますが、WFOT認定校で学んでいることが条件となります。

作業療法学専攻のカリキュラム

シラバス

  • 1年次
  • 2年次
  • 3年次
  • 4年次

1年次

区分 科目
教養科目 人間と社会 ●大学導入論 ★ボランティア入門 ●生命倫理 ●学びの技法 ★教育学 
●心理学概論 ★法学入門 ★文化人類学 ★生活と経済学
科学的思考 ★情報処理(基礎) ●情報処理(応用) ★環境科学 ★生命科学入門 
★行動科学 ●自然科学基礎
コミュニケーション・英語 ●コミュニケーション論 ●対人援助技術論 ★医療従事者のための日本語表現 
★英語(基礎) ★英語(英会話) ★韓国語(基礎会話)
健康と社会 ★スポーツ・レクリエーション ★専門職の世界
専門基礎科目 人体の構造と機能 ●解剖学(人体の構造) ●解剖学A演習(骨・筋・末梢神経) 
●解剖学B演習(中枢神経・内臓学・心脈管系) ●生理学(細胞生理学、循環・呼吸系) 
●生理学演習(神経系・運動機能、運動の中枢性制御、消化・吸収・排泄系) 
●運動学入門 ●運動学 ●人間発達学
疾病と障害の成り立ち及び回復過程の促進 ●臨床心理学 ●栄養学
保健医療福祉とリハビリテーションの概念 ●リハビリテーション概論 ★社会福祉概論 ●地域の保健医療福祉
専門科目 基礎作業療法学 ●作業療法概論Ⅰ ●作業療法概論Ⅱ ●作業療法セミナーⅠ ●基礎作業学 
●基礎作業学実習
作業療法評価学 ●作業療法評価学概論 ●基礎評価学演習
臨床実習 ●見学実習

※★は選択科目

2年次

区分 科目
教養科目 人間と社会 ★教育方法論
科学的思考 ★統計学
コミュニケーション・英語 ●保健医療英語入門 ★保健医療英語購読
健康と社会 ★東洋手技療法入門 ●医療安全管理
専門基礎科目 人体の構造と機能 ●基礎運動学演習 ●臨床運動学演習 ●老年学概論
疾病と障害の成り立ち及び回復過程の促進 ●病理学概論 ●薬理学 ●内科学 ★外科学概論 ●整形外科学 
●リハビリテーション整形外科学演習 ●神経内科学 ●精神医学 ●小児科学 
●脳神経外科学 ●公衆衛生学 ●救急救命学・スポーツ医学 ★言語聴覚学概論
保健医療福祉とリハビリテーションの概念 ●リハビリテーション医学 ★福祉工学 ★パラスポーツ演習
専門科目 基礎作業療法学 ●作業療法セミナーⅡ
作業療法管理学 ●作業療法管理学
作業療法評価学 ●運動機能評価学 ●認知心理評価学 ●社会・生活機能評価学 
●評価学演習Ⅰ ●評価学演習Ⅱ
作業療法治療学 ●作業療法治療原理 ●生活行為向上マネジメント概論
臨床実習 ●検査・測定実習

※★は選択科目

3年次

区分 科目
専門基礎科目 疾病と障害の成り立ち及び回復過程の促進 ●医用画像解析学
保健医療福祉とリハビリテーションの概念 ●多職種連携論
専門科目 基礎作業療法学 ●作業療法学研究法 ★作業療法研究法演習 ●作業療法研究計画演習
作業療法評価学 ●作業療法画像評価学 ●作業療法評価特論
作業療法治療学 ●作業療法治療理論 ●運動器障害作業療法治療学 ●身体機能作業療法治療学演習 
●内部障害作業療法治療学 ●精神機能作業療法治療学 ●精神機能作業療法治療学演習 
●発達過程作業療法治療学 ●高次脳機能作業療法治療学 ●神経障害作業療法治療学 
●義肢装具学 ●義肢装具学演習 ●生活環境論 ●作業療法治療学総合演習 
●作業療法介入技法演習 
★リハビリテーション治療学演習Ⅰ(生活行為向上マネジメント) 
★リハビリテーション治療学演習Ⅱ(スポーツ傷害理学療法) 
★リハビリテーション治療学演習Ⅲ(認知症) 
★リハビリテーション治療学演習Ⅳ(AI・ICT 活用/ 福祉用具作成)
地域作業療法学 ●地域リハビリテーション学 ★地域リハビリテーション学演習 ●地域作業療法学
臨床実習 ●評価実習 ●Basic OSCE ●地域作業療法実習

※★は選択科目

4年次

区分 科目
専門基礎科目 保健医療福祉とリハビリテーションの概念 ★保健医療制度概論
専門科目 基礎作業療法学 ●作業療法学総論 ★卒業研究
臨床実習 ●Advance OSCE ●総合臨床実習Ⅰ ●総合臨床実習Ⅱ

※★は選択科目

作業療法学専攻の実習

シラバス

  • 1年次
  • 2年次
  • 3年次
  • 4年次

1年次

時期 科目(内容) 期間
4月~8月 ボランティア入門(ボランティア活動)
8月 見学実習 3日間

2年次

時期 科目(内容) 期間
2月 検査・測定実習 2週間

3年次

時期 科目(内容) 期間
9月 評価実習 3週間
2月 地域作業療法実習 1週間

4年次

時期 科目(内容) 時期
4~6月 総合臨床実習Ⅰ 7週間
6~8月 総合臨床実習Ⅱ 7週間

実習のポイント

1.1 年次に臨床現場を見学することで医療・福祉施設、及び作業療法士の機能や役割を学びます。

実習指導者の指導・監視のもと、3 日間の実習施設の見学を行います。実習前に施設についての調べ学習を行い、実習後にそれぞれで学んだ内容に関して発表を行い、情報共有することでそれぞれの施設や作業療法士の機能・役割の多様さを学びます。

2. 2 年次の検査・測定実習は2 週間かけて運動・認知機能や生活機能に関して、検査・測定方法を体験します。

実習指導者の指導・観察のもと、運動機能評価(関節可動域検査、筋力検査、感覚検査、バランス評価など)、認知機能評価(記憶評価、知能評価など)、日常生活評価(FIM、動作観察・分析など)などを実施・体験します。

3. 3 年次の評価実習は3 週間かけて実践的に作業療法業務を学んでいきます。

評価実習は実習施設において実習指導者の指導・監督のもと、学内で学修した評価に関する知識や検査・測定方法などを患者さんに対して行い、身体能力や生活環境等を評価することで患者さんの全体像を把握し、具体的な問題点を抽出するまでの過程を行います。

4. 3 年次の地域作業療法実習は1 週間かけて学びます。

通所リハビリテーション又は訪問リハビリテーションに関する施設において、実習を行います。地域包括ケアシステムの強化に資する高度医療人材を育成することを目的とし、作業療法士の実践的役割・支援を学びます。

5. 4年次の総合臨床実習は、14 週間かけて学びます。

作業療法学専攻の総合臨床実習は14 週間です。実習施設において実習指導者の指導・監督のもと、評価から作業療法実施までの一連の作業療法過程を実施します。学生の個性と学修状況に合わせ、実習先の病院と密な連携・情報交換を行いながら到達目標まで学びます。身体障害、精神障害、発達、高齢期などの施設2 か所で実習を行います。

6. 臨床参加型実習(CCS)による臨床実習を行っていきます。

学生は臨床実習指導者のチームに参加して、作業療法の臨床推論を学び、見学、模倣し、振り返りを繰り返すことによって臨床経験を多く積む形態の実習を行います。見学では学生が臨床実習指導者の行う作業療法について解説を受けながら観察し、模倣では学生が臨床実習指導者の行う作業療法について指導を受けながら実際に行います。実施では学生が臨床実習指導者の行う作業療法を監督のもと、主体的に実際に行います。

7. 遠方の実習地における交通費・宿泊費などは大学が負担します(大学規定あり)。

作業療法士を目指すための臨床実習では、病院で受け入れられる実習生数が限られているため、学生1 人だけで実習地に行くことが一般的です。そのため、病院の受け入れ状況によっては、近隣の実習地以外で実習を行うこともあります。本学では、遠方の実習地になった際の交通費・宿泊費を大学が負担し、実習費を別途徴収することはありません。

8. 実習前に実習指導者と本学教員との合同会議を行い、実習先と十分な連携を取っています。

実習前には実習指導者と本学教員との合同会議を行い、本学の実習について理解いただき、実習指導者と学生との面談も実施します。また、本学教員は臨床実習を実施している学生の中間評価及び臨床実習指導者との連携を目的に、実習施設を訪問します。臨床実習前後の評価においても客観的臨床能力試験(Objective Structured Clinical Examination:OSCE)などを活用し、本学教員と実習指導者と協同して、学生の臨床技能を総合的に評価するなどの連携も図っていきます。

作業療法学専攻の教育設備

医療現場を想定した最新の設備で、実践力を身に付ける!
作業療法学専攻が使用する実習室は、基礎医学実習室、作業療法学実習室(手工芸・織物・絵画)、作業療法学実習室2(金工・木工・陶工)、日常生活動作訓練室(ADL室)、装具加工室、レクリエーション室の6部屋です。技術向上のため、講義以外の時間に学生が申請の上、自由に使えるようにしています。

基礎医学実習室

基礎医学実習室

主に1・2年で学ぶ「生理学」や「解剖学」の実習・演習で使用します。
心電計などを使った生理機能の学習、ラットなど実験動物を使った実習、人体模型や顕微鏡を使い、人体の構造と機能を学習します。
また、動物飼育室を併設しており、マウスやラットを一定の温度で飼育しています。

作業療法学実習室(手工芸・織物・絵画)

作業療法学実習室(手工芸・織物・絵画)

「基礎作業学演習」「身体障害作業療法治療学演習」など、作業療法の実習に使用します。 織物、絵画、レザークラフトなど、力が弱くてもできるような作業で、関節の動きや手指の細かい動きが回復することや、精神的な安定を目的としています。どのような作業をすれば効果的かを判断するために、様々な作業種目を自ら体験し学修します。

作業療法学実習室2(金工・木工・陶工)

作業療法学実習室2(金工・木工・陶工)

「基礎作業学演習」「身体障害作業療法治療学演習」など、木工や陶芸など作業療法の実習に使用します。比較的大きな力を必要とする作業により、患者さんが筋力をつけられ、動作のコントロールもできるようになります。また、作業に集中することによって精神の落ち着きにも繋がります。作業療法として多く用いられる作業について、実際に作品を制作して制作方法やその技術を身につけ、臨床に応用する能力を高めます。

日常生活動作訓練室(ADL室)

日常生活動作訓練室(ADL室)

「日常生活活動学」の演習等に使用します。食事・着替え・トイレ・お風呂など、患者さんが家庭に帰るための訓練について学修します。日常の身の回りの動作を身につけることは優先的な課題のひとつであり、患者さんが練習するための様々な訓練場面を再現しています。また、自立のために必要な福祉機器について、その種類、適応についても学修します。

装具加工室

装具加工室

「装具学」「義肢学」の演習で使用します。手足を切断した患者さんが使用する義手や義足等の装具・自助具について、装着訓練、装具使用での動作訓練法を学修します。また、簡易な装具・自助具については対象者に合わせて作製できるように、その手法を学びます。