本学は、看護学科での4年間の学修で「看護師」と「助産師」のダブルライセンスを目指すことができる数少ない大学の1つです。東京都と神奈川県には看護師を養成する大学は合計41大学ありますが、そのうち、4年間の学修で助産師の資格取得を目指すことができるのは5大学のみとなります。
学修上の悩みなど一人で抱え込まないように、看護学科では1人の教員が少人数の学生を受け持つ「サポートアドバイザー制」を導入し学修サポートを行っています。サポートアドバイザー教員による面談も年間を通して複数回行っており、教員が積極的に学生と深く関わる環境があります。サポートアドバイザー教員は必要に応じて生活面のアドバイス等も行い、学生が学修に集中できるようサポートしています。
4年間の学修期間の中で、学外の医療施設で行われる臨地実習に取り組みます。臨地実習を通して様々な目的・規模を持つ医療施設の特色を知り、自身の将来像を考えることは、就職先の選択肢を広げることにつながります。また、多様な環境での実習を通して様々な人間関係を築くことで、看護職者に求められるコミュニケーション力を養うこともできます。
実習施設は本学が位置する多摩エリアを中心に、東京都52施設、神奈川県19施設、埼玉県1施設(2023年度実績)と、非常にコンパクトにまとまっているため、実習を通して地域密着の看護を学ぶことができます。
現在、日本の医療は今までの病院完結型から地域包括ケアへと大きく変化をしています。本学は、学生に積極的に地域社会での活動の場を提供し、地域包括ケアで看護職者に求められるコミュニケーション力や幅広い視野を身につけられるようにしています。地域や自治体が主催する様々なイベントに、運営スタッフやボランティアスタッフとして参加したり、正課の講義や演習(ボランタリーワークセミナー等)でも、自治体と協力して地域貢献の場を設けたりしています。
教育課程は3つの基本的な枠組みで構成され連携することでより良い看護を提供できる看護師を育成する
講義や演習を通して、医療職の基礎となる専門的な知識や技術を習得します。また入学後早期に実施する臨地実習により、看護師の仕事内容や役割、患者さんとの関わりなどを、実際の看護場面から学んでいきます。教員と臨床実習指導者が連携して支援する中で、分からない点や気になる点を話し合い、より深い学びを身につけられるようになります。
区分 | 科目 | ||
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教養分野 | 人間の理解 | ●哲学 ★日本近現代史 ★教育学 | |
生活と文化 | ●コミュニケーション論 ●ボランタリーワークセミナー ★スポーツ・レクリエーション ★文化と健康 ★東京の中の多摩を知るセミナー |
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人間と環境 | ★生物と進化 ●生命科学 ★物理学 ★環境科学 | ||
グローバルコミュニケーション | ●日本語表現 ●英語Ⅰ(読む・書く基礎) | ||
大学における学び | ●スタディスキルセミナー ●情報リテラシー | ||
専門基礎分野 | 専門基礎科目 | ●形態機能学Ⅰ ●形態機能学Ⅱ ●生化学(栄養学含む) ●病理学 ●感染免疫学 ●診断・治療学総論 ●生涯発達論 ●形態機能学Ⅲ ●形態機能学Ⅳ |
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専門分野 | プロフェッショナリズムの基盤 | ●セルフディブロップメント | |
看護の基盤 | ●看護学概論 ●看護学援助論 ●基礎看護学方法論Ⅰ(生活援助技術) ●基礎看護学実習Ⅰ(療養環境実習) ●基礎看護学演習Ⅰ(生活援助技術) ●基礎看護学演習Ⅱ(フィジカルアセスメント) ●基礎看護学演習Ⅲ(臨床看護技術) ●基礎看護学方法論Ⅱ(フィジカルアセスメント) ●基礎看護学方法論Ⅲ(臨床看護技術) |
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地域生活と看護 | ●地域生活看護学演習 ●地域・在宅看護学概論 |
※★は選択科目
ライフサイクルの特徴や健康生活を支援する看護を修得し、実習で患者さんの生活を支援する看護実践を目指す
看護はあらゆる年代の個人や家族を対象とします。ライフサイクルに沿った身体的・心理的な変化と日常生活への影響を講義や演習を通して学び、対象に応じた看護を修得します。さらに実習では、教員、実習指導者の指導を受けながら、入院している患者さんを受け持ち、生活を支援するための看護を実践します。この実習を通して看護実践能力を身につけます。
区分 | 科目 | ||
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教養分野 | 人間の理解 | ★文化人類学 | |
生活と文化 | ●家族と社会 ★法と人権 ★スポーツ医学 | ||
グローバルコミュニケーション | ●英語Ⅱ(医療英語) ●英語Ⅲ(日常会話) | ||
専門基礎分野 | 専門基礎科目 | ●臨床薬理学 ●診断・治療学Ⅰ ●診断・治療学Ⅱ ●生命倫理 ●医療と法 ●診断・治療学Ⅲ ●臨床心理学 ●社会保障論 |
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専門分野 | プロフェッショナリズムの基盤 | ●キャリアディブロップメントⅠ(職業的アイデンティティ) | |
看護の基盤 | ●基礎看護学方法論Ⅳ(看護の計画的展開) ●基礎看護学演習Ⅳ(看護の計画的展開) ●基礎看護学実習Ⅱ(看護技術実習) ●基礎看護学実習Ⅲ(看護実践実習) |
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健康生活と看護 | ●成人看護学概論 ●成人看護学援助論Ⅰ(セルフケア) ●老年看護学概論 ●母性看護学概論 ●小児看護学概論 ●老年看護学援助論 ●成人看護学援助論Ⅱ(クリティカルケア) ●小児看護学援助論 ●母性看護学援助論 |
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地域生活と看護 | ●精神看護学概論 ●地域・在宅看護学援助論 ●精神看護学援助論 |
※★は選択科目
3年次は領域別の臨地実習での体験や学びを通して人にやさしく寄り添うことのできる看護師の育成を目指す
3年次の領域別の臨地実習では、教員と実習施設の指導者が十分に連携して支援し、学生が不安なく実習に臨み、目標達成できるようサポートします。グループごとに必ず教員が同行するため、個々の状況に応じてじっくりと学びを進められます。実習後は学びの振り返りを行うことで、臨地実習の学びを確実に身につけていきます。
区分 | 科目 | ||
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教養分野 | 生活と文化 | ★生活と経済学 | |
グローバルコミュニケーション | ★英語Ⅳ(英語論文読解) | ||
大学における学び | ●情報科学演習 | ||
専門基礎分野 | 専門基礎科目 | ★保健統計学 ●公衆衛生学(疫学含む) | |
専門分野 | プロフェッショナリズムの基盤 | ●キャリアディブロップメントⅡ(キャリアデザイン) | |
健康生活と看護 | ●成人看護学実習Ⅰ(セルフケア実習) ●成人看護学実習Ⅱ(クリティカルケア実習) ●老年看護学実習Ⅰ(地域高齢者実習) ●老年看護学実習Ⅱ(高齢者生活支援実習) ●小児看護学実習 ●母性看護学実習 ●老年看護学演習 ●小児看護学演習 ●母性看護学演習 ●成人看護学演習 |
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地域生活と看護 | ●精神看護学実習 ●地域・在宅看護学実習 ●精神看護学演習 ●地域・在宅看護学演習 | ||
看護の学びの統合 | ★家族看護学 ●医療安全論 ●看護倫理学 ●看護管理学 ●チーム医療論 ●公衆衛生看護学概論 |
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助産学 ※助産師課程希望者は必修 |
★助産学概論 ★基礎助産学 ★健康教育技法 ★地域母子保健学 |
※★は選択科目
災害看護学などを通して実践的な学修をするとともに、4年間の総まとめとして看護を深く探究し、看護研究を行う
実習のまとめとしての統合実習では多職種、他機関との連携における看護の役割を学びます。また災害看護学では地域医療施設の専門家から直接指導を受け、実践的に学びます。さらに教員の個別指導を受けながら看護を探究する看護研究を行います。4年間の学修を経て、それぞれの学生が看護に対する考えを自分の言葉で表現できるようになります。
区分 | 科目 | ||
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教養分野 | グローバルコミュニケーション | ★韓国語(基礎会話) ★異文化体験セミナー | |
専門分野 | プロフェッショナリズムの基盤 | ★キャリアマネジメント論 | |
看護の学びの統合 | ★看護教育学 ●統合実習Ⅰ(ヘルスマネジメント実習) ●統合実習Ⅱ(多職種連携実習) ●看護研究概説 ●災害看護学 ●看護研究 |
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助産学 ※助産師課程選択者のみ |
●助産診断・技術学概論 ●助産診断・技術学Ⅰ(正常な経過) ●助産診断・技術学Ⅱ(異常な経過) ●助産診断・技術学演習 ●助産管理学 ●助産学実習 |
※★は選択科目
時期 | 科目(内容) | 期間 |
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5月 | 基礎看護学実習Ⅰ | 4日間 |
時期 | 科目(内容) | 期間 |
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6月 | 基礎看護学実習Ⅱ | 1週間 |
9月 | 基礎看護学実習Ⅲ | 1週間 |
時期 | 科目(内容) |
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3年次 (後期) |
成人看護学実習Ⅰ(セルフケア実習) |
成人看護学実習Ⅱ(クリティカルケア実習) | |
老年看護学実習Ⅰ(地域高齢者実習) | |
老年看護学実習Ⅱ(高齢者生活支援実習) | |
小児看護学実習 | |
母性看護学実習 | |
精神看護学実習 | |
地域・在宅看護学実習 |
時期 | 科目(内容) |
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4年次 (前期) |
統合実習Ⅰ(ヘルスマネジメント実習) |
統合実習Ⅱ(多職種連携実習) | |
8月~10月 | 助産学実習 |
講義や学内演習で学んだ基礎的な力を活用し、看護の実践力を身に着けることを目的として、学生が実際に医療機関や保健施設などの看護実践の場で、看護の対象者である患者さんとそのご家族、さらに住民の方々と直接関わりを持ちながら実践力を身につけます。
臨地実習は、大学病院や地域の中核病院を中心に、訪問看護ステーション、保健センター、領域によってはクリニックや保育園など、様々な規模や特色を持った施設で行われます。臨地実習施設は大学が位置する多摩エリアを中心に1都3県に集中しています。(全72施設中、東京都52施設、神奈川県19施設、埼玉県1施設。2023年度実績)
学生は数人のグループで臨地実習に臨みます。グループは実習の領域や施設ごとに異なるため、普段の学生生活とは異なる新たな人間関係を築くきっかけとなり、コミュニケーション能力を養う場にもなっています。
学生が臨地実習に臨むにあたり、教員は臨地実習指導者と密に連携し、学生が不安になったり悩んだりすることがないよう、学修環境を整えています。臨地実習には教員が必ず同行し、学生一人ひとりの状況に応じた指導を行うとともに、学生と臨地実習指導者、そして患者さんとの関係性を形成するサポートをしています。また、実習後には学びの振り返り期間を設け、臨地実習での学びが確実に身につくようにしています。
▼「ボランタリーワークセミナー」では、実際に多摩市内の活動にボランティアとして参加し、ボランタリー活動の意義や必要性について学びます。
▼「地域生活看護学演習」では大学のある多摩市街でフィールドワークを行い、地域の特徴や地域で暮らしている人々の生活について学びます。
基礎看護学では、基礎看護学演習Ⅰ~Ⅳで、看護の基盤となる診療の補助技術や日常生活援助技術を学び身につけます。3年次の前期には各看護学領域で演習科目があり、事例を使って看護過程の展開をするとともに、看護実習モデル人形を使用して、時には学生同士が看護師役と患者役に分かれて演習を行うことで、看護技術の修得をします。この演習科目を通して、後期からの臨地実習がより具体的にイメージできるようになり、実習に対する意欲も高まります。
医療現場を想定した最新の設備で、実践力を身に付ける!
看護学科の実習室は、基礎・成人・老年看護学、母性・小児看護学・助産学、在宅看護学の4部屋です。講義で学修した技術を確実に身に付けられるよう、実際の医療現場に近い環境で学ぶことができます。教員の指導のもと自由に自主練習を行うことができます。
主に1・2年生が学ぶ、「基礎看護学」の講義で使用します。
患者の体を拭く、髪・足を洗う、車いすの操作など、看護師になるにあたり必要な日常生活の看護について学修します。また、筋肉注射や採血の演習も行います。
患者さんの身体を清潔にする、移動を助けるなど、看護の基本となる日常生活援助技術や注射や採血など診療の補助技術を学びます。
実習室の隣には、実技のデモンストレーションを行える教室(デモ室)があります。実習室を行き来して実技練習を行ったり、グループワークなどにも使用しています。
「成人看護学」「老年看護学」の演習に使用します。
体温を高く設定したり、心拍を不整にするなど、いくつかの疾患を想定し、患者さんの状況を設定できるシミュレータ(フィジコ人形)があります。心電図や眼の視診、肺・腸音などの聴診トレーニングを行うなど、様々な場面での看護を学修します。
また、高齢者疑似体験をして、高齢者へ必要な看護を学修します。
実習室の隣には、実技のデモンストレーションを行える教室(デモ室)があります。実習室を行き来して実技練習を行ったり、グループワークなどにも使用しています。
「母性看護学」「小児看護学」「助産学」の演習に使用します。
モデル人形等を使用して妊娠から出産まで、お母さんと赤ちゃんに必要な看護、女性の健康支援について、学修・演習を行います。また、乳児期・幼児期・学童期とこどもの年齢に合わせた看護を小児ベッドやモデル人形を使って、練習・学修します。
分娩台、診察台、超音波診断装置、保育器、インファントウォーマーなど、設備が充実しています。
「在宅看護学」の演習に使用します。
自宅を訪問して、生活環境をふまえた看護を学ぶため、一般宅を想定して床の間や押し入れのある和室、風呂場、トイレ等を設置しています。リフトや杖など福祉用具も取り揃え、自宅で生活する療養者や家族への理解を深めていきます。